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不当判決

227億円の証券会社の詐欺と役割を拒絶する投資者保護基金とズサンな裁判
目次

オプティファクター社員の畦元氏へのヒアリング

下記の証拠はアーツ証券が破産した際に、破産管財人の澤野弁護士がオプティファクターの社員の畦元氏に行ったヒアリングである。

オプティファクターは、診療報酬債の流動化を行い診療報酬債券の組成を行っていた会社で、オプティファクターの社長は児泉収が先代として担ってきたが、その後息子の児泉一が社長となる。

畦元氏は会社のオプティファクターの立ち上げ時から事務を担当をしているが、ヒアリングを見ると同社の問題を感じながら仕事をしていたことがうかがえる。

内容として注目すべきはSPCからの借り入れが33億円あると言う所である。SPCは特別目的会社であるから、投資家のお金を他の目的に流用してはいけない。それにもかかわらず、オプティファクターが33億円もの借り入れをしているのはどういう事であろう。

事件証拠:甲第9号証:畦元氏のヒアリング
事件証拠:甲第9号証:畦元氏のヒアリング
事件証拠:甲第9号証:畦元氏のヒアリング
事件証拠:甲第9号証:畦元氏のヒアリング
事件証拠:甲第9号証:畦元氏のヒアリング
事件証拠:甲第9号証:畦元氏のヒアリング
事件証拠:甲第9号証:畦元氏のヒアリング
事件証拠:甲第9号証:畦元氏のヒアリング

オプティファクター社長の児泉一のヒアリング

オプティファクターは診療報酬債券の組成者である。すなわち、診療報酬債を元に流動化をして金融商品化している会社である。

オプティファクターは、児泉収が元々は社長をしており、逮捕された児泉一の父親である。

児泉一が破産管財人の澤野氏から受けたヒアリングの刑事事件証拠が下記のものである。

ここに明確に書かれている事は、診療報酬債の使途不明金が少なくとも70億円あり、児泉収が癌で死亡してからすぐにアーツ証券の川崎正社長の指示の下、この詐欺スキームの継続をした事である。(「タコはい」とP.1に書かれているのは紛れもなくねずみ講である)

資金の出どころが、診療報酬債券の購入者であることも読み取れるし、P.2にアーツ証券社長の川崎が積極的に営業を行うよう指示していたことも書かれている。

運用については,川崎社長からの指示。営業を積極に行う

また、注目すべき内容として、青山綜合会計の創業者の横山の名前も出ており、児泉収が横山のインテリジェントなる会社に投資をしているのも分かる。(P.4)

事件証拠 甲8 オプティファクター社長の児泉一のヒアリング
事件証拠 甲8 オプティファクター社長の児泉一のヒアリング
事件証拠 甲8 オプティファクター社長の児泉一のヒアリング
事件証拠 甲8 オプティファクター社長の児泉一のヒアリング
事件証拠 甲8 オプティファクター社長の児泉一のヒアリング
事件証拠 甲8 オプティファクター社長の児泉一のヒアリング
事件証拠 甲8 オプティファクター社長の児泉一のヒアリング
事件証拠 甲8 オプティファクター社長の児泉一のヒアリング
事件証拠 甲8 オプティファクター社長の児泉一のヒアリング
事件証拠 甲8 オプティファクター社長の児泉一のヒアリング

そもそも何を裁判しているか

アーツ証券と言う証券会社が組織的犯罪で詐欺を行い、投資家のお金をベトナム等に送金していた事が発覚した。これについては、「アーツ証券の詐欺事件の概要」を参照して頂きたい。

詐欺のスキームは、証券会社の社長が主導して運用会社と会計会社を巻き込んで一体となり、お金を不正流用したものである。

本来なら証券会社が破産しようが投資家の資産は分別管理で守られるはずであるが、詐欺であるため巨額のお金が消えたと同時に証券会社も破産してしまい、被害者はお金を取り戻す事が出来なくなってしまった。

こういった場合、投資者保護基金と言う金商法で定められた機関が補償する事になっているのだが、基金は「証券会社により分別管理はされていた」と言う法的裏付けの薄い理由で拒否した。(「薄い」と言っているのは、分別管理の範囲について解釈の余地があり、そこが不当であるからである)

実は同様の証券会社の詐欺は過去にもあり、最高裁判決で投資者保護基金は補償すべきと言う判例がある。それにも関わらず、基金が補償を拒否しているため、被害者は集団訴訟で裁判を行う事とした。

東京高裁と東京地裁の判決は各々がまったくもって不当なものであり、このまま行くと日本の証券取引のセーフティネットが機能しなくなり、証券業界の信用の根幹が崩れる。これは許容できない事であり、何としても裁判は勝たなければいけない。

詳細は目次から見て頂きたいが、どの観点から見ても投資者保護基金は補償すべきである。

理解に苦しむのは、判決が的を射ていないのみならず、ハッキリ言って支離滅裂である。地裁にしても高裁にしても判決文の肝心な所で、意図的に勝手な憶測を入れている。結論ありきの文章を作りたいがための憶測が非常に気持ち悪く、何らかの圧力でもあったのではないかと思わされるものである。
正直、日本の司法の危機を感じるレベルであり、どのような人が見ても明らかに判決がおかしいと思うと感じるので、刑事事件の証拠や民事事件の判決を詳細に記載し、反論していきたい。

当サイト自体の概要については、「当サイトについて」を参照頂きたい。

原告団から見た分別管理義務違反

再三の記載になるが、当サイトは「分別管理」はそもそも争点ではないと考える。
ただし、投資者保護基金が分別管理を前提にして裁判の議論を出してきているので、仮定の話として分別管理義務違反があったかどうかについて述べたい。
結論としては、証券会社の分別管理義務違反でもあるのだが、それを説明する。

単純に言えば、下記のロジックになる。
下記は、もっとも分かりやすいお金の流れの1つであるが、これ以外にも多数の不正な分別管理義務違反であるケースが多々ある事は付記しておく。

今回の詐欺はアーツ証券社長の川崎正が主導している。
(下図:刑事事件証拠 甲第1号証 証券取引監視委員会の証拠)
 ↓
川崎正は証券会社が送金したお金が、診療報酬債券の購入以外に不正に使われると分かっていて、虚偽の説明を顧客にした。
(下図:刑事事件証拠 甲第1号証 行政処分概要)
 ↓
送金先のSPC(特別目的会社:メディカルリレーションズリミテッド等)では川崎正と共謀した児泉一と横山公一が、お金を不正に流用しており、分別など一切していない。
(下図:刑事事件証拠 甲第6号証1 および P.9刑事事件証拠 甲第45号証 P.9)
 ↓
SPCが不正に送金した先には、川崎正が取締役を務めるGLOBAL CORE社がある。同社の代表取締役は共謀した児泉一である。その他の送金先も川崎正が関与している。
(下図:刑事事件証拠 甲第7号証P.2)
 ↓
川崎正が取締役を務めるGLOBAL CORE社の勘定科目内訳明細書には投資損失があり、破産のため株式損失計上額3億2709万9999円が計上されており、ここでも明らかに分別管理がされていない。分別管理されていれば、アーツ証券が破産しようとも影響は受けてはいけなく勘定科目に載っているのがおかしい。分別管理とは倒産隔離を目的とするものであるからである。
(下図:刑事事件証拠 甲第190の4号証P.12)


上述で分別管理も何もない事は明らかであるが、投資者保護基金はアーツ証券株式会社単体に絞って信託銀行に入れた時点で分別管理をしたと主張している。
アーツ証券とSPC(メディカルリレーションズリミテッド等)とGLOBAL CORE社、その他の関連会社は人的にも資本的にも一体である。
これについては、「証券会社と運用会社の一体性」のエントリーで示している。

また、金商法第42条の4では、その文頭から「金融商品取引業者」と書いてあり、証券会社に絞っていない。

第四十二条の四 金融商品取引業者等は、その行う投資運用業(第二条第八項第十五号に掲げる行為を行う業務に限る。)に関して、内閣府令で定めるところにより、運用財産と自己の固有財産及び他の運用財産とを分別して管理しなければならない。

(金商法 第42条の4)

言うまでもないのだが、複数の会社であったら運用財産と自己財産は分別して管理しなくていいなどと書いていない。当たり前の事である。

従って、分別管理義務違反は存在すると言うのにも十分な理由がある。

東京高裁の判決を読むと、「分別管理義務違反の問題でない」と言っている。
この解釈には2通りある。
1つは、「分別管理自体が争点ではない」と言う解釈で、それはそれで正しい。ただし、そうであれば投資者保護基金の主張が間違っているとしているのだから、結論は投資者保護基金の主張を退けて、原告が正しいとしないといけない。
もう1つは、「分別管理義務違反はしていない」と言う解釈で、これについては上述したように、分別管理義務違反をしている。

いずれの解釈をするにしても、投資者保護基金の主張は退けて原告の主張通り補償すべきである。

証券取引監視委員会の証拠(甲第一号証)
証券取引監視委員会の証拠(甲第一号証)
オプティファクター行政処分勧告
刑事事件証拠 甲第1号証 行政処分概要
メディカルリレーションズリミテッドの履歴事項全部証明書
刑事事件証拠 甲第6号証 P.1
メディカルリレーションズリミテッドの財産目録
刑事事件証拠 甲第45号証 P.9
GLOBAL COREの全部履歴事項証明書
刑事事件証拠 甲第7号証 P.2
GLOBAL COREの決算明細
刑事事件証拠 甲第190の4号証 P.12

分別管理とは

「分別管理」は本裁判における主要な議論の1つである。当サイトでは、そもそも投資者保護基金が補償するかしないかの判断にあたって、「分別管理」自体を問題にする必要はないと考えており、基金が保証しない理由とする法的裏付けとして「分別管理」を持ち出すことは意味が無い、と考えている。しかし、現実的に裁判にて議論が展開されているため、説明はする。

地裁の判決の中のP.26の(被告の主張)にて投資者保護基金制度の趣旨が書かれていて、この通りである。

分別管理制度とは、顧客から預託を受けた有価証券や金銭などの顧客資産の確実な返還を確保するため、金融取引業者に対し、顧客資産を金融商品取引業者の一般資産と区別して保管する事を義務付けることで、金融商品取引業者が登録取消処分、破産、解散等により金融商品取引業を行わなくなった場合に、顧客資産の確実な返還を実現するために設けられたものである。

平たく言うと、分別管理とは「金融業者が仕事をする上でのお金やオフィスや車と言った資産は、顧客の資産である株等の証券と一緒にしてはいけません、分けて管理しなさい。」と言う事である。要は、「お客の金を勝手に使わないように分けろ」と言う極めて当たり前の事を金商法で義務付けているに過ぎない。

ここで、投資者保護基金が意図してかどうか分からないが、「金融商品取引業者」と書くことでいかにも証券会社のみに絞ったような書き方をしている。実際に、金商法第42条の4を見ると下記のように「金融商品取引業者」と書かれており、証券会社のみに対象を絞っていない。

(分別管理)

第四十二条の四 金融商品取引業者等は、その行う投資運用業(第二条第八項第十五号に掲げる行為を行う業務に限る。)に関して、内閣府令で定めるところにより、運用財産と自己の固有財産及び他の運用財産とを分別して管理しなければならない。

金商法 第42条の4

分別管理を義務付けている法律上の対象は証券会社に過ぎず、投資者保護基金の補償対象を制約する」とは金商法上まったく書かれていない。
一方で、金商法施行令の第18条の10には下記の旨、書かれている。

第四十三条の二の二の規定による管理の状況に照らして、当該債権につき完全な弁済ができないと認められる場合又は当該債権の弁済に著しく日数を要すると認められる場合とする。

この第43条の2の2が分別管理を示していて、「管理の状況に照らして」と言うのが、議論のポイントの1つである。アーツ証券社長の川崎正が運営管理している複数の会社をまとめたスキームに対して(証券会社と運用会社の一体性でも記載リンク)、アーツ証券単体の信託銀行への振込をもって、管理の状況と照らして問題ないと解釈しているのが意味が分からない。「管理の状況に照らして」考えれば、複数の会社をまとめたスキームの外に分別されているのならば管理として理解できなくはない。しかし、金商法第42条の4でも「等」と書かれているように、スキーム内での資金移動だけに着目して「管理の状況に照らして」問題なしと解釈するのは明らかにおかしい。そもそも、分別管理の問題にする事自体がおかしいのである。

法律として言っている事は極めて当たり前の事なのだが、実際は証券会社の詐欺が起こるように実運用面では問題が出る。そのために、金融庁の監査が入ってチェックしているのだが、本件では二重帳簿を作っていたようで、金融庁のチェックもごまかされていた。これも分別管理以前の話であって、そもそも分別管理を持ち出すのがおかしい。

高裁判決とその不当さ

アーツ証券の詐欺に対する投資者保護基金への補償を求めた集団訴訟に対して高等裁判所の判決は不当なものであった。

その内容について確認していきたい。

まず、高裁の判決文のP.3にて下記のように記載されている。

金商法施行令 18条の10は、このような分別管理義務及び投資者保護基金制度が設けられた立法の経緯を踏まえ、金商法 79条 の56第 1項の委任の下、分別管理義務を定める規定による管理の状況に照らして、一般顧客が認定金融商品取引業者に対して有する債権につき完全な弁済ができないと認められる場合に限定して、補償対象債権の支払を行うこととしている。

上記に書かれている金商法施行例18条の10を見ると「分別管理の管理状況に照らして」とされている。金商法施行令へのリンク)。つまり、分別管理を要求するならば、まず大前提として「分別管理状況」を裁判所は正しく把握する必要がある。本件において問題なのは、証券会社の社長の川崎正が複数の会社をまとめて主導した詐欺スキームによる犯罪である事である。仮に分別管理の有無が基金による補償の有無を左右する要件であるために分別管理を議論にする必要があるならば、この複数の会社のスキームの外側に分別管理されていないと全く意味がない。高裁がなぜにアーツ証券単体に絞った分別管理と捉えているのかが分からない。法令上、「管理状況に照らして」と書かれているのであるから、きちんと資金の管理状況を踏まえるべきである。

従って、高裁が本判決で分別管理義務の是非を「管理の状況に照らして」をアーツ証券単体と決めつけるのは裁判所側の勝手な解釈に過ぎず、法的裏付けは無い。これは同様に、分別管理については元々が投資者保護基金が都合の良い理論を持ち出してきているに過ぎないとも言える。経緯を踏まえるのであれば、後述するように基金の設立目的からスタートし、何があるべき「分別管理」かを裁判所は正しく認識した上で、そのような「分別管理」がなされていた「管理状況」であったか否かに照らして判断すべきである。

次に、下記に書かれている判決(判決文P.5)について見ていく。

内閣府令・財務省令で定めるところにより基金が算出するものと定めている。そして、金商法上、一般顧客が基金に対して79条の 54に係る認定を求めたり、その判断を争ったりする手続は法定されておらず、その認定や公告を経ずして、一般顧客が基金に対して補償対象債権の認定やその支払を求める手続も法定されていない。
これらのことからすれば、一般顧客の基金から支払を受ける地位又は補償に係る請求権は、分別管理制度が機能しない場合における投資者保護の補完という政策的観点から投資者保護基金制度によって 創設された私法上の地位ないし権利にすぎず、飽くまで金商法の定める枠組みの中で行使できるにすぎないもの (金商法の規定を離れて実体的に存在する地位ないし権利ではない)というべきであり、かつ、金商法の規定ぶりからして、権利発生の要件を満たすか否かの認定及び判断は専ら基金に委ねられていると考えられる。

この記載が意味する事は要するに「法的手続きが想定していないので基金が全て判断を自由にして良く、一般顧客は基金に補償を請求してはいけない」と言う事であるが、全くおかしな判決である。補償対象の支払いや求める手続きが法定されていないからと言って、投資者保護基金が好きなように決めていいと言う話ではあってはならない。後述する基金の設立目的の観点からすれば、「一般顧客の請求に基づいて」(これは最高裁の判決として明記されている)補償すべきである。基金にこのような裁量を勝手に裁判所が与えるとはトンデモナイ判決であって、到底許容できない。

投資者保護基金の目的は一般投資家のセーフティネットである。基金は金商法の第4章の2で規定して設立された機関であり、銀行のペイオフと同様に当該の証券会社が破綻した場合に投資家を保護する役割を持つ。省令でその設立の目的が明確に定められているセーフティーネットの機能を持つ組織である。

投資者保護基金(以下この章及び附則において「基金」という。)は、第七十九条の五十六第一項の規定による一般顧客に対する支払その他の業務を行うことにより投資者の保護を図り、もつて証券取引又は商品関連市場デリバティブ取引に対する信頼性を維持することを目的とする。

(金商法 第79条の2)


上述の金商法の設立の目的だけでなく、投資者保護基金の存在意義は最高裁判決で明記されており、以下のようなものである。

投資者保護基金は、会員である金融商品取引業者が顧客資産の返還に係る債務の円滑な履行をすることが困難であるとの認定をした場合に、認定金融商品取引業者の一般顧客の請求に基づいて、一般顧客が認定金融商品取引業者に対して有する顧客資産に係る債権であって認定金融商品取引業者による円滑な弁済が困難であると認められるものにつき一定の金額を支払う等の業務を行うことにより投資者の保護を図り、もって証券取引に対する信頼性を維持することを目的として設けられたものである (最高裁判所平成18年7月13日 第一小法廷判決 。民集 60巻 6号 2336頁参照)。

最高裁判例参考リンク)

高裁の判決は、これに反し証券取引に対する信頼性を低下させているのは明らかで、基金が間違った判断をした場合でも投資者がその判断を争う余地が一切ないとしてしまうものである。これは、基金による証券取引のセーフティーネットとしての機能を著しく毀損する。

高裁判決がこのまま認められてしまえば、極めて恣意的な判断を許容する事を、裁判所が基金に付与する事となり、何があっても基金は補償をしない事も可能となる。金商法で規定された基金である以上、こういった勝手な基金の判断で、救う投資家とそうでない投資家を決めるような権限を与えるべきではなく、証券会社の責任を踏まえて救済できるようにすべきである。

なお、基金ですら、被害者の救済は基金が好きなように決めていいとは主張しておらず、高裁の判決は刑事事件の証拠、地裁での議論、高裁にて提出されている資料を全て無視した的外れなものでもある。元東京高等裁判所の判事をしていた原告の弁護士もかつて見たことのないような不当な判決と憤りを露わにしている。

次に下記の文(P.6 (4))について見ていく。

金商法 79条の 54に係る認定 (顧客資産の返還に係る債務の円滑な履行が困難であるとの認定)及び同法 79条 の55に係る公告が行われていないことは当事者間に争いがない。そうである以上、アーツ証券に分別管理義務違反が認められるか否かにかかわらず、控訴人らは被控訴人に対し補償対象債権に係る支払い請求権を取得する事はなく、その支払を請求する事はできない

上記については「公告が行われていないことは当事者間に争いが無い」とされているが、公告がないから裁判で争っているのであって、判決文の意味が分からない

なお、「当事者間に争いがない」とされている部分については、地裁の判決文のP.29にても、「公告がなければ、不当な結果をもたらすこととなる。」旨、原告団の弁護士が書いている。投資者保護基金が公告しなかった事実面は認めるが、それを問題視していないとは言っていなく、問題であると原告は言っている。被害者も納得しているとして、裁判官の勝手な解釈を書くべきではない。
高裁の判決において論理的な展開自体がなされていないとしか思えないし、上述のように公告の有無ではなく手続きが不備であるなら、基金の設立目的を踏まえて、どう考えるべきかを裁判所は述べるべきであろう。少なくとも、2000年の南証券における高裁判決とは大きな乖離がある判決であることは疑いようがない。

次に下記の文(P.7)を取り上げる。

控訴人らは、診療報酬債権という裏付資産が確保されることを前提に投資判断を行ったのであるから、金融商品取引業者は裏付資産である診療報酬債権を確保するために本件資金移動 (アーツ証券か ら本件レセプト債発行会社 に対する控訴人らから預託を受けた金銭の払込み)を行う債務を負うとか、裏付資産が確保されないことを知りながら本件資金移動を行うことは権限外の行為であってその法的効果は顧客である控訴人らに帰属しない、仮に本件資金移動が権限内の行為と評価されるとしても、顧客に対する詐欺行為の一環としてされたものであるから、権限濫用に当たり、控訴人らに効果が帰属しないなどと主張するが、詰まるところ、正しい情報をもたらされなかつたことによる損害は、説明義務違反等の問題であつて、分別管理義務違反の問題ではないというべきである。

「詰まるところ」以前については原告の主張を認めているので問題はない。問題は「説明義務違反等の問題であって分別管理義務違反の問題ではない」と言ってる文章が論理的ではない。説明義務違反が何故に分別管理義務違反といきなり繋がって来るのかがよく分からない。

高裁として証券会社の説明義務違反の問題を認めてはいるのは良い。これについては原告も証券会社の詐欺と主張しているので矛盾はない。(ただ、刑事事件で詐欺と確定されたものを、民事事件で高裁は説明義務違反と矮小化しているように見える。この辺が意図的に見えて気持ち悪いのである。)

また、基金が補償する要件として、分別管理の有無は問題にする必要がないという意味で「分別管理義務違反の問題でない」という事であればこれも正しい(上述)。

「分別管理義務違反の問題でない」と高裁は言っているのだから、投資者保護基金による「分別管理をアーツ証券がしていたので問題はない」と言う主張を退けている訳である。基金の主張を退けているのであるなら、投資者保護基金は補償すべきと言う結論が論理的なのは誰が見ても明らかである。ここまで明らかなものにもかかわらず、高裁は補償は不要としてしまった。まったく論理的ではない。

我々被害者の主張をもう少し整理して書けば下記のものである。

1.証券会社に説明義務違反があり、詐欺である(説明義務違反と言うかわいいレベルではないが、それもあるのでここではこのままとする。上述したが、裁判所は意図的に矮小化しているように見える。)
  ↓
2.証券会社は義務を全うせずに破産した
  ↓
3.証券会社の犯罪による投資家の被害を、投資者保護基金は設立目的からして補償すべきである
  ↓
4.投資者保護基金は「分別管理」をもって拒絶しているが、基金が補償すべきかどうかの判断に際して、分別管理は問題ではない(高裁判決もその旨言及している)
  ↓
5.最高裁の判例を見ても証券会社の詐欺は、投資者保護基金が補償すべきである
  ↓
6.投資者保護基金の主張は退け、原告の主張を認めて補償する

これが論理的な流れである。
高裁の判決は1,2は認めているし4も認めている。にもかかわらず、3と5と6になっていない。原告の主張が論理的に否定される文章にすらなっていない。判決文がここまで論理的ではなくて裁判官として良いのであろうか?

裁判官ともあろうものが、もっともらしくウソを書いてはいけない。

そもそも、この高裁の判決がおかしいのは、高裁は地裁の判断すら踏まえず議論を始めているし、原告の主張や被告の主張と議論が噛み合っていないし、結論が論理的ではない事である。いきなり、「手続きがないから原告の主張は受け入れない」と言うのであれば、裁判所の役割は一体なんなのであろうか?前述したように、基金ですら「証券会社の詐欺に対する救済を基金が自由に決めていい」とは主張していないのである。また、法律上もそのような事は全く書かれていなく、高裁が勝手な解釈をしているだけであるようにしか見えなく、判決文の論理展開も破綻している。最低限、今までの議論を踏まえて判決文を書くべきであり、論旨展開もしっかりして、原告団が納得できる説明をすべきである。

結論ありきで無理な論旨展開をするのは、何かあるのであろうか?
政治的な圧力でもあるとしか思えない部分がある。

不当判決と言うには十分であろう。

投資者保護基金

投資者保護基金は、証券会社の破たん等があった際に投資家を保護するためのセーフティーネットとして設立された機関である。日本だけでなくアメリカやイギリスにも存在し、一般投資家を守る事を目的としている。これは金商法の中でも明記されており、金融商品取引法第79条の21の条文(e-gov法令検索へのリンク)にて設立の目的が下記のように記載されている。

投資者保護基金は、第七十九条の五十六第一項の規定による一般顧客に対する支払その他の業務を行うことにより投資者の保護を図り、もつて証券取引又は商品関連市場デリバティブ取引に対する信頼性を維持することを目的とする。(金商法 第79条の21)

基金は、金商法で定められている唯一の投資家を守る機関であり、全ての証券会社は加入が義務付けられている。これは、証券会社が倒産した場合に備えてのもので、例え証券会社の資産がなくなったり債務超過に陥っても、投資家の資産を流用されるべきではないのだが、実際に投資家のお金を動かすのは証券会社であるから、投資家の資産がなくなる事はあり得る。(2000年に起きた南証券では証券会社の社長が投資家のお金を自分のお金として使ってしまっていた)

こういったケースがあり得るため、投資家の資産を保全すべく基金は上限を設けて補償する事が金商法で定められている。(1000万円まで)

例えば、トヨタ自動車の株券を証券会社AにてX氏が購入し、その後に証券会社Aが破産した場合、X氏のトヨタ自動車の株はあくまでもX氏の資産であるため、X氏にきちんと戻ってくるべきである。しかし、証券会社が預かっているX氏の株を勝手に売却して他の会社の返済に充てられる事もあり得る。こういった事が起きた時に、X氏の損害を補償すべく設立されたのが投資者保護基金である。

ここで重要になってくるのが、「分別管理」と言うもので、証券会社には投資家のお金を悪用したり流用したりできないように、お金を別に管理しなさいと言う義務がある。理論的には分別管理で信託会社等にお金を移しておきさえすれば、証券会社は投資家の資金の流用が出来ないはずで、これがされていない場合は基金が投資家にお金を補償します、と言うものである。

今回の事件では、アーツ証券は信託会社に投資家の資金を一度預けている。これをもって「分別管理」をされたとして、基金は補償をしないとしている。しかし、これは確実におかしく、分別管理の先に送られた投資家の資金が証券会社による詐欺スキームによって流用されているのが刑事事件の証拠から明らかにも関わらず、投資家のセーフティーネットとしての機能を拒否しているのである。

2000年に起きた南証券の詐欺の裁判においては、最高裁判決として下記が出ている。

「投資者保護基金は、会員である金融商品取引業者が顧客資産の返還に係る債務の円滑な履行をすることが困難であるとの認定をした場合に、認定金融商品取引業者の一般顧客の請求に基づいて、一般顧客が認定金融商品取引業者に対して有する顧客資産に係る債権であって認定金融商品取引業者による円滑な弁済が困難であると認められるものにつき一定の金額を支払う等の業務を行うことにより投資者の保護を図り、もって証券取引に対する信頼性を維持することを目的として謝けられたものである (最高裁判所平成18年7月13日 第一小法廷判決 。民集 60巻 6号 2336頁参照)。」

これから見ても分かるように、「分別管理」についての記載はなく、一般顧客の請求に基づいて円滑に顧客資産を返還するように示されているのみである。

また、投資者保護基金の制度設計として、分別管理が成されていれば基本的には資産を投資者保護基金が回収できるため基金に損害を与えずに顧客資産を返還できる、と言う考え方は理解できなくてはない。しかし、今回のような証券会社社長による詐欺スキームでは、スキーム外に分別管理しなければ意味は無いのである。

そう言った管理の意味合いを無視して、証券会社単独の「分別管理」がされているかいないかを理由にして補償の是非の議論を裁判でしている基金の考え方は理解に苦しむ。

なお、投資者保護基金制度については、海外の事例も含めた研究会が公益財団法人 日本証券経済研究所にて行われている。下記は、当該制度の内容である。

日本証券経済研究所による投資者保護基金制度の会合

投資者保護基金に関する命令

投資者保護基金とは、証券取引のセーフティーネットとして位置づけられた組織であり、法令でも定められた組織である。

投資者保護基金に関する命令(大蔵省令第百二十五号)

最高裁の判決でも下記のように、投資家の保護を図り証券取引に対する信頼性を維持する事を目的として設けられたものである、との記載があり、アーツ証券のような証券会社の詐欺被害者となった投資家こそ救済すべき組織である。

「投資者保護基金は、会員である金融商品取引業者が顧客資産の返還に係る債務の円滑な履行をすることが困難であるとの認定をした場合に、認定金融商品取引業者の一般顧客の請求に基づいて、一般顧客が認定金融商品取引業者に対して有する顧客資産に係る債権であって認定金融商品取引業者による円滑な弁済が困難であると認められるものにつき一定の金額を支払う等の業務を行うことにより投資者の保護を図り、もって証券取引に対する信頼性を維持することを目的として謝けられたものである (最高裁判所平成18年7月13日 第一小法廷判決 。民集 60巻 6号 2336頁参照)。」

残念ながら、今回、投資者保護基金はこの省令を無視し、被害者の救済を拒絶した。

拒絶の理由はまったく理解に苦しむもので、分別保管をアーツ証券がしているから(これも信託銀行に送金したに過ぎず、裏でアーツ証券社長の川崎正、児泉一、横山公一らが不当に資金を流用していた)と述べており証券会社からの資金送金の部分のみに着目して救済を拒絶している。証券取引の信頼性を維持しようと言う意志はまったく感じられなく、2022年7月の東京高裁の判決を基にすると、証券会社が破綻した場合、どのような場合においても救済はされなくなる事になる。