読み込み中…

不当判決

227億円の証券会社の詐欺と役割を拒絶する投資者保護基金とズサンな裁判
目次

専門誌に見る本件の判例研究(中央大学 宮下教授)

本事案に対する地裁の判決については、その矛盾点を指摘してきたが、裁判の専門誌でも同様な指摘が中央大学の宮下教授からされている。こちらについても、裁判所に弁護士より提出されたにもかかわらず、高裁で無視されているのはどういう事であろう?

地裁が単なる金銭債権に過ぎないとした判決に対する違和感

本件レセプト債は、健康保険組合等により履行を受けることが確実な診療報酬債権等を裏付資産とするものであり、顧客は、それゆえに金融商品としての価値を有するものと考えて購入したと考えられる。また、レセプト債と称する以上、その債権が診療報報酬債権等を裏付資産としていることは一目瞭然であろう。これらの点を踏まえると、本件レセプト債に表章されているのが単なる金銭債権にすぎないとした本判決の結論には強い違和感を覚える。むしろここで表章されているのは、診療報酬債権等を裏付資産とする金銭債権であるといえよう。

現代 消費者法 No.55/2022.6 P.97 (3)

証券会社の善管注意義務違反

委任契約における受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務(善管注意義務)を負うが(民法644条)、ここでの委任の本旨とは「契約の目的に適合するように」という意味であると説明される。上述した金商法43条の2は、金融商品取引業者が行う有価証券業管理業務に関する特則として定められたものであるが、その前条の43条で定められている善良な管理者の注意をもって有価証券等管理業務を行わなければならないとする善管注意義務を具体化したものとも考えられる。本事案においてA証券(筆者注:アーツ証券を指す)は、本件レセプト債の取得を勧誘する際に、診療報酬債権等を裏付資産とするゆえにリスクが低く安全性が高いと強調していた。そうであるならば、A証券にはB社およびC社が裏付資産である診療報酬債権等を確実に購入していることを確認したうえで本件レセプト債に関する振込みを行うことが求められるというベきであり、これこそがまさに受任者であるA証券に課された善管注意義務の内容といえよう。
そもそも、A証券の代表取締役G(筆者注:川崎正)は、B社およびC社(筆者注:運用会社オプティファクターのSVC)が本件レセプト債の発行額に見合う診療報酬債権等を確保していないことを承知しながらその取得の勧誘を続けるように指示していたのであるから、A証券には、上記の確認を怠って振込みを行ったという善管注意義務違反があったといえよう。

現代 消費者法 No.55/2022.6 P.97 (3)

証券会社に預託された金銭の分別管理義務違反

逆にいえば、A証券は、上記の確認がとれない限りは、顧客から預託された金銭を振り込まずに維持する義務があると考えられる。そしてこの義務に反して金銭を振り込む行為は、X・A間(筆者注:Xは原告の被害者、Aはアーツ証券)の委任契約の本旨に反するものであって、その法的効果はXらには帰属しないものと考えられる。この場合には、A証券が管理すべきであった顧客の資産は、顧客から預託された金銭そのものとなる。
したがって、A証券には、B社およびC社が裏付資産となる診療報酬債権等を確保していることを確認したうえで、診療報酬債権等を裏付資産とする金銭債権を表章したレセプト債を購入するために顧客から預託された金銭等を振り込まなければならないにもかかわらず、漫然と振込みを行ってしまったがゆえに、Xらの委任の本旨に従わない形で本来であれば確実に管理すべきXらから預託された金銭を流出させたという分別管理義務違反があったと評価すべきであろう。

現代 消費者法 No.55/2022.6 P.97 (3)

中央大学 宮下教授の結論

本件 レセプト債は、金商法79条 の56に定める「補償対象債権」となると解すべきである

現代 消費者法 No.55/2022.6 P.98 (4)

上記の文面の内容

現代 消費者法 No.55/2022.6 P.97
現代 消費者法 No.55/2022.6 P.98 (4)

アーツ証券

アーツ証券は、今回の詐欺事件のメインとなった証券会社である。

設立は平成15年8月、資本金は5億円、従業員は平成27年度時点で26名いたとされており、平成28年1月29日に証券取引等監視委員会からの処分勧告により関東財務局から行政処分を受けて、事業を廃止し、3月31日に東京地裁から破産開始決定を受けている。平成27年3月期の営業収益は5億5700万円。負債総額は約59億円、資本金や営業収益の5億円単位から考えると巨額である。

アーツ証券の破産管財人の資料で債権者一覧(個人名が入るので掲載はしない)を見ると、我々診療報酬債券の購入者がほぼ全てとなっている。言うまでもなく、破産管財人はアーツ証券の詐欺として、投資家を債権者として認めている。実際に、破産管財人から我々への返金もされた。

東京商工リサーチのアーツ証券に関するリンク

同社の社長の川崎正は刑事事件にて4年間の有罪を宣告された。2022年8月現在、最終的に服役したかどうかは我々は分からないが、共犯の児泉一(運用会社のオプティファクター社長)は服役したと聞いた。共犯の児泉一も刑事事件で川崎正と同罪で4年の宣告は受けている。

共犯の児泉一について記載すると、アーツ証券の役員でもあった(下記のアーツ証券の履歴事項全部証明書を参照)。児泉一については別に書くが、運用会社のオプティファクター社長でもある。別にも書いたように、児泉一は詐欺スキーム内の多くの会社に役員として登場するが、あまり実態を分かっていた人間ではない。オプティファクターの先代を受け継いでいたため、先代亡き後に継がされてしまっている。最終的に実質的に動かしていたのはアーツ証券の川崎正で間違いはない。

本事案が最初に発覚したのはアーツ証券の社員による金融庁への内部告発である。当然ながら、アーツ証券の役員の不正を知っていたからであり、筆者も内部告発をした方と直接話をした事がある。顧客の資金についてはかなり悪質であり、相当な金額を目的外に流していたとの話であった。

下記の刑事事件の証拠「甲1号証 実際の詐欺スキーム」を見ると、アーツ証券が顧客に説明していた内容(下記証拠「甲1号証 アーツ証券の説明スキーム」)は明らかに実際のお金の流れと異なる。特にエムアイファシリティーズ(MIF)、GLOBAL CORE、クオリティクラスリミテッド、スウィフトアロウリミテッドと言った会社の社債を買っているのが非常におかしく、本来ならば保険医療機関に行かなくてはいけなかったお金である。

アーツ証券の中で内部告発者以外の社員がどこまで詐欺を認識していたかは不明であるが、役員の江連昌一はかなり内容を知っていたと見られ、役員の立場もあった事から民事事件にて訴訟を起こされている。

アーツ証券は診療報酬債以外にも中小企業への資金調達用の「中小企業資金繰支援債券」も扱っていた。発行残高は5.7億円と診療報酬債券と比べると小さい。また、ASAP ALPHA NOTEと言う社債を発行している。こちらの残高は49億円とされているものの、決算書類すら作成されてない様子で、甲第1号証の証拠には証券取引等監視委員会ですら実態が不明とされている。診療報酬債券以外については破産管財人により返金されたようで、実はこの返還の仕方も問題である。

アーツ証券が扱っている金融商品はあまり多くなく、この3つで営業収益の多くを計上している。もちろん、詐欺であるから実際とは乖離がある事は容易に想像できるわけだが、この手の金融機関の破たん時によくあるように、同社社長の川崎も含めて本当の所を正確に分かってる人は実は誰もいないのではないか。いずれにしても、扱っている金融商品の手数料で5億円の販売手数料を作るのは規模を鑑みるとおかしい。上記債券の残高総額283億(診療報酬債券227億+ASAP49億+中小企業債5.7億)円としても、その手数料は販売会社に毎年発生する収益ではないはずである。通常、証券の手数料と言うものは、販売時や決済時には証券会社に1%前後発生し、それ以外の期間に手数料は運営会社に数%と言うものである。被害者が知る限り、アーツ証券の顧客の取引はそこまで多くはなく、残高283億円と言っても1年間での販売は数十億円がいい所であろう。そうなると、5億円の収益を上げるのには大きな違和感を感じる。

同社の破産時の有価証券・出資金等目録には、ベトナムの会社がある。名前はVietnam Investment Partners Co., Ltdとされており、ハノイに籍を置いている。アーツ証券はこのベトナムの会社に1235万円の資産を有しており、どういった目的であったかは不明である(普通に考えれば詐欺の被害額227億円の一部ではないかと想定される)。ベトナムに流されたお金は破産管財人もまったく手が出なかったと述べていた。まさに闇である。海外に流れているお金はこれ以外にも多くある。

平成27年に出されているアーツ証券の勘定科目内訳書を見るとアーツ証券役員の役員給与が出ており、川崎正の報酬は2020万円となかなかのものである(このお金が投資家のお金であると思うと腹立たしい限りである)。また、アーツ証券の役員の江連昌一も役員給与が1630万円と大きな報酬を取っている。

刑事事件証拠 甲1号証 アーツ証券が顧客に説明した資金の流れ
刑事事件証拠 甲1号証 アーツ証券の説明スキーム
刑事事件証拠 甲1号証 アーツ証券の詐欺の実際の資金の流れ
刑事事件証拠 甲1号証 実際の詐欺スキーム
刑事事件証拠 甲1号証 アーツ証券詐欺の診療報酬債券発行残高と診療報酬債の実際の金額
刑事事件証拠 甲1号証 診療報酬債保有残高と実際の社債発行残高
アーツ証券の役員報酬と人件費の内訳
アーツ証券の役員給与
アーツ証券 破産時の履歴事項全部証明書
アーツ証券 破産時の履歴事項全部証明書1
アーツ証券 破産時の履歴事項全部証明書
アーツ証券 破産時の履歴事項全部証明書2
アーツ証券 有価証券等目録
アーツ証券 破産時の有価証券の一部

アーツ証券社員による内部告発

本件は10年以上に渡り組織的に行われてきた犯罪ではあるが、最終的にその問題が表面化したきっかけは証券会社社員による内部告発である。

集団訴訟を起こすに当たり、被害者のメンバーが訴訟参加への応募サイトを作った。このサイトを通して被害者に連絡をして来て頂き、私も実際に電話で話をした。

内部告発の方のお名前は書けないが、内容としては内部告発をした方は金融庁に告発をした。その結果を受けて金融庁が検査に入り、アーツ証券による詐欺が発覚したのである。

ただし、これについては証拠としてどこかにあるものではないと認識している。別の民事裁判の中で話が出ている可能性はあるのだが、実体験として電話で当該の証券会社社員とお話をして内部告発である事を聞いたとしか言いようがない。なお、電話には他の被害者も出ており、全員の証言としては出せる。

そもそも何を裁判しているか

アーツ証券と言う証券会社が組織的犯罪で詐欺を行い、投資家のお金をベトナム等に送金していた事が発覚した。これについては、「アーツ証券の詐欺事件の概要」を参照して頂きたい。

詐欺のスキームは、証券会社の社長が主導して運用会社と会計会社を巻き込んで一体となり、お金を不正流用したものである。

本来なら証券会社が破産しようが投資家の資産は分別管理で守られるはずであるが、詐欺であるため巨額のお金が消えたと同時に証券会社も破産してしまい、被害者はお金を取り戻す事が出来なくなってしまった。

こういった場合、投資者保護基金と言う金商法で定められた機関が補償する事になっているのだが、基金は「証券会社により分別管理はされていた」と言う法的裏付けの薄い理由で拒否した。(「薄い」と言っているのは、分別管理の範囲について解釈の余地があり、そこが不当であるからである)

実は同様の証券会社の詐欺は過去にもあり、最高裁判決で投資者保護基金は補償すべきと言う判例がある。それにも関わらず、基金が補償を拒否しているため、被害者は集団訴訟で裁判を行う事とした。

東京高裁と東京地裁の判決は各々がまったくもって不当なものであり、このまま行くと日本の証券取引のセーフティネットが機能しなくなり、証券業界の信用の根幹が崩れる。これは許容できない事であり、何としても裁判は勝たなければいけない。

詳細は目次から見て頂きたいが、どの観点から見ても投資者保護基金は補償すべきである。

理解に苦しむのは、判決が的を射ていないのみならず、ハッキリ言って支離滅裂である。地裁にしても高裁にしても判決文の肝心な所で、意図的に勝手な憶測を入れている。結論ありきの文章を作りたいがための憶測が非常に気持ち悪く、何らかの圧力でもあったのではないかと思わされるものである。
正直、日本の司法の危機を感じるレベルであり、どのような人が見ても明らかに判決がおかしいと思うと感じるので、刑事事件の証拠や民事事件の判決を詳細に記載し、反論していきたい。

当サイト自体の概要については、「当サイトについて」を参照頂きたい。

事件概要

2016年にアーツ証券社員による内部告発で発覚した診療報酬債の詐欺は2470人もの被害者を出し、227億円を超える被害を出した証券会社による犯罪である。この巨額な被害の8割近くがベトナム等にある複数の会社に流されてしまい、同証券会社の川崎正と運用会社の児泉一及び青山綜合会計横山公一により作られた複雑なスキームを利用した組織犯罪となっている事が刑事事件で判明している。

このスキームは、証券会社と運用会社の両社長が取締役を務める特別目的会社のグローバルコア社が中心となり、会計会社も抱き込んで当初から資金を海外に流出させる事を目論んでいたとしか思えない状態にあった。会計会社も含んだスキームとする事で、金融庁の監査をすり抜けながら10年以上に渡り顧客からお金を集め海外に流出させる事に成功しており、証券会社の犯罪として非常に悪質である。

当事案の発覚後、資金の回収を破産管財人が試みたが、送金先のベトナムの会社は既に空っぽな状態となっており、それ以上の追求について法的な対応が出来なくなってしまった。マネーロンダリングの観点からも非常に大きな問題を孕む犯罪である。

アーツ証券社長の川崎正は刑事裁判で主犯として実刑判決を受けており、診療報酬債運用会社の社長の児泉一も同様に実刑判決を受け服役。また、証券会社と運用会社の役員達は次々に破産し、被害者は投資した資金の回収が困難となった。

証券会社による犯罪であるため、被害者は投資者保護基金に救済を求めたが、基金はアーツ証券が分別保管をしており証券会社は問題ではないとして拒否。しかし、アーツ証券社長の川崎正が主犯として本件とスキームを司ってきたのは刑事事件の証拠や判決から見ても明らかであり、基金の主張はスキーム内部の証券会社の形式的な送金部分のみに着目する事で、その責務を回避しようと試みるものである。

これを受け、被害者の内100名ほどが集団訴訟を同基金に対して起こしたが、地裁、高裁共に敗訴。地裁の判決内容には間違いもあり訴えを退けた理由となっていなく、この点を高裁にて指摘し、再度裁判に挑んだ。しかし、高裁の判決については更に問題のあるものとなっており、証券会社の詐欺に対して救済の可否は基金が自ら決めるものであり、請求は出来ないとして退けた。これは、投資者保護基金の法的存在意義を踏まえずに枝葉末節な議論をもって、救済の是非の判断の全てを基金に委ねる事を許すような不当判決で、法律で規定があるにもかかわらず裁判所はその法的判断を行う事そのものを避けている。

アーツ証券の診療報酬債詐欺の概要図。金融庁からの刑事事件の証拠(甲第1号証)
アーツ証券の診療報酬債詐欺の概要説明。金融庁からの刑事事件の証拠(甲第1号証)
証券取引監視委員会の証拠(甲第一号証)
証券取引監視委員会の証拠(甲第一号証)
証券取引監視委員会の証拠(甲第一号証)
証券取引監視委員会の証拠(甲第一号証)
証券取引監視委員会の証拠(甲第一号証)
証券取引監視委員会の証拠(甲第一号証)
証券取引監視委員会の証拠(甲第一号証)
証券取引監視委員会の証拠(甲第一号証)