アーツ証券
アーツ証券は、今回の詐欺事件のメインとなった証券会社である。
設立は平成15年8月、資本金は5億円、従業員は平成27年度時点で26名いたとされており、平成28年1月29日に証券取引等監視委員会からの処分勧告により関東財務局から行政処分を受けて、事業を廃止し、3月31日に東京地裁から破産開始決定を受けている。平成27年3月期の営業収益は5億5700万円。負債総額は約59億円、資本金や営業収益の5億円単位から考えると巨額である。
アーツ証券の破産管財人の資料で債権者一覧(個人名が入るので掲載はしない)を見ると、我々診療報酬債券の購入者がほぼ全てとなっている。言うまでもなく、破産管財人はアーツ証券の詐欺として、投資家を債権者として認めている。実際に、破産管財人から我々への返金もされた。
同社の社長の川崎正は刑事事件にて4年間の有罪を宣告された。2022年8月現在、最終的に服役したかどうかは我々は分からないが、共犯の児泉一(運用会社のオプティファクター社長)は服役したと聞いた。共犯の児泉一も刑事事件で川崎正と同罪で4年の宣告は受けている。
共犯の児泉一について記載すると、アーツ証券の役員でもあった(下記のアーツ証券の履歴事項全部証明書を参照)。児泉一については別に書くが、運用会社のオプティファクター社長でもある。別にも書いたように、児泉一は詐欺スキーム内の多くの会社に役員として登場するが、あまり実態を分かっていた人間ではない。オプティファクターの先代を受け継いでいたため、先代亡き後に継がされてしまっている。最終的に実質的に動かしていたのはアーツ証券の川崎正で間違いはない。
本事案が最初に発覚したのはアーツ証券の社員による金融庁への内部告発である。当然ながら、アーツ証券の役員の不正を知っていたからであり、筆者も内部告発をした方と直接話をした事がある。顧客の資金についてはかなり悪質であり、相当な金額を目的外に流していたとの話であった。
下記の刑事事件の証拠「甲1号証 実際の詐欺スキーム」を見ると、アーツ証券が顧客に説明していた内容(下記証拠「甲1号証 アーツ証券の説明スキーム」)は明らかに実際のお金の流れと異なる。特にエムアイファシリティーズ(MIF)、GLOBAL CORE、クオリティクラスリミテッド、スウィフトアロウリミテッドと言った会社の社債を買っているのが非常におかしく、本来ならば保険医療機関に行かなくてはいけなかったお金である。
アーツ証券の中で内部告発者以外の社員がどこまで詐欺を認識していたかは不明であるが、役員の江連昌一はかなり内容を知っていたと見られ、役員の立場もあった事から民事事件にて訴訟を起こされている。
アーツ証券は診療報酬債以外にも中小企業への資金調達用の「中小企業資金繰支援債券」も扱っていた。発行残高は5.7億円と診療報酬債券と比べると小さい。また、ASAP ALPHA NOTEと言う社債を発行している。こちらの残高は49億円とされているものの、決算書類すら作成されてない様子で、甲第1号証の証拠には証券取引等監視委員会ですら実態が不明とされている。診療報酬債券以外については破産管財人により返金されたようで、実はこの返還の仕方も問題である。
アーツ証券が扱っている金融商品はあまり多くなく、この3つで営業収益の多くを計上している。もちろん、詐欺であるから実際とは乖離がある事は容易に想像できるわけだが、この手の金融機関の破たん時によくあるように、同社社長の川崎も含めて本当の所を正確に分かってる人は実は誰もいないのではないか。いずれにしても、扱っている金融商品の手数料で5億円の販売手数料を作るのは規模を鑑みるとおかしい。上記債券の残高総額283億(診療報酬債券227億+ASAP49億+中小企業債5.7億)円としても、その手数料は販売会社に毎年発生する収益ではないはずである。通常、証券の手数料と言うものは、販売時や決済時には証券会社に1%前後発生し、それ以外の期間に手数料は運営会社に数%と言うものである。被害者が知る限り、アーツ証券の顧客の取引はそこまで多くはなく、残高283億円と言っても1年間での販売は数十億円がいい所であろう。そうなると、5億円の収益を上げるのには大きな違和感を感じる。
同社の破産時の有価証券・出資金等目録には、ベトナムの会社がある。名前はVietnam Investment Partners Co., Ltdとされており、ハノイに籍を置いている。アーツ証券はこのベトナムの会社に1235万円の資産を有しており、どういった目的であったかは不明である(普通に考えれば詐欺の被害額227億円の一部ではないかと想定される)。ベトナムに流されたお金は破産管財人もまったく手が出なかったと述べていた。まさに闇である。海外に流れているお金はこれ以外にも多くある。
平成27年に出されているアーツ証券の勘定科目内訳書を見るとアーツ証券役員の役員給与が出ており、川崎正の報酬は2020万円となかなかのものである(このお金が投資家のお金であると思うと腹立たしい限りである)。また、アーツ証券の役員の江連昌一も役員給与が1630万円と大きな報酬を取っている。






